技術の極み：コンコルドの魅力

1969年3月2日、世界の航空史上に金字塔を打ち立てたコンコルドが初飛行に成功しました。

独特な形状の機体と当時の常識を軽々と打ち破る飛行性能は、瞬く間に近未来的デザインの象徴としてもてはやされたのでした。

実際、どれほどの速さだったのでしょう？離陸速度400km/h、巡航速度2,160km/h（現在運行中の大型旅客機のほぼ2倍）。当時の普通旅客機で標準8時間かかったロンドン - ニューヨーク間をわずか3時間半に短縮しました。

これまでにもエンジニアリングの最骨頂を取り上げてきたレゴ®アイコンシリーズへ、世界に名高い超音速旅客機を迎え入れる好機が到来しました。

レゴ®アイコン コンコルドの発売を間近に控え、製品開発担当シニアデザイナーのミラン・マッジにこのセットの魅力について質問してみました。

スピードが命

「コンコルドが特別な理由は数々あります」とミランは語ります。工学の知識がない方でも、コンコルドの流線型の機体はご存じのはず。まさに航空機デザインの花形です。

しかし、その独特な形状さえ、類まれな飛行性能を実現するために生まれたものであり、設計担当技師たちにとっては「超音速」がすべてでした。

「機体を動かしたのは、主翼下に取り付けられた巨大なオリンパス ターボジェットエンジンでした」とミランは続けます。「レゴモデルでも、このエンジンの排気口や吸気口の一つひとつまで精巧に再現しています」

超音速の実現には、細身の流線型ボディが必要であり、それを安全に着陸させられるように機首が下方に折れ曲がるドループ・ノーズが採用されました。

伝説がよみがえる

ドループ・ノーズも飛行性能を考慮した選択だったとミランは言います。

「着陸態勢に入るとき、迎え角の大きさと細長い機首によってパイロットの前下方視界が遮られることが問題でした。そこでドループ・ノーズが採用されたのです」

さらに、三角翼を語らずしてコンコルドを語ることはできません。

その形状がギリシャ文字のデルタ（Δ）に似ていることからデルタ翼と呼ばれます。

「主翼の構造には時間をかけました」とミランは言います。「機体中央部は横向きにして組み立てるため、ブロックのポッチは上向きになりません。その結果、翼は強度に優れ、機体腹部にも凹凸がありません」

この点を強調したのは、スタンドに飾ると機体腹部が見えるからです。

ミランたちは、コンコルドを開発した技師たちに倣い、スタンドに至る細部まで入念に設計しました。

「コンコルドがまるで無重力に見えるようなスタンドにしたいと考えました。そこで細くカーブした支柱をつくり出し、その台座には銅板に見えるようなプリント銘板を付けました」

また、薄い主翼にランディングギアを取り付けるのも一苦労でした。

「主翼よりもランディングギアの方が厚みがあったんです」

幸い、レゴ® NASA スペースシャトル ディスカバリー号を手がけたミランの経験値がモノを言いました。

「ディスカバリー号のときの経験がたいへん役立ちました。コンコルドには、上下のシフトチェンジを同時に行える変速機が必要でした」

そのため、ミランたちは機体のほぼ全長（105cm）にわたる仕組みをつくり出し、内装に影響を与えることなく、それを細身の胴体部に収めて3組のランディングギアを緩急をつけて下ろせるようにしました。

どうすればそんなことができるのか、ミランに聞いたところ…

「悪戦苦闘の連続でしたよ」と笑っていました。

つまり、本セットは彼らの汗と涙の結晶とも言えそうです。長さ105cm、幅43cmという完成品のサイズを聞いただけでもうなずけるというもの。 また、その組み立て難度の高さから、レゴ®アイコン コンコルドは、「大人を本気にさせるレゴ®セット」の上位にも食い込んでいます。

スピードへの情熱を物語るレゴ®コレクション

ミラン率いる開発チームは、コンコルド関連の記録を保存するエアバス社ヘリテージ部門の協力を得て、段階を踏みながらいくつもの試作品をつくり出しました。

そして両社の連携が功を奏し、機首が下方に折れ曲がるドループ・ノーズ、昇降するランディングギア、収納式降着装置、エレボン可動の三角翼、ヒンジ付き上下ラダーなど、超音速旅客機の魅力を余すところなく再現するレゴセットが誕生しました。

コンコルドのファンでなくとも、デザインの粋に酔いしれることができるイチオシの最新セットです。

AIRBUS and CONCORDE are registered trademarks of Airbus.