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ゴッホ作「星月夜」は何度観ても新しい発見があります。それが歴史に残る名画と言われる所以かもしれません。観ているうちに絵の中に吸い込まれそうになります。
多くの画家がそうであったように、ゴッホも生前には富や名声に恵まれませんでしたが、後世の芸術に多大な影響を与える数々の傑作を残しました。
事実、星月夜に感銘を受けたレゴ®ファンのトルーマン・チェンさん（以下敬称略）がレゴ アイデアコンテストに応募した同作の3Dモデルは、1万票以上の支持を得て、製品化が決定されました。
そこで同セットの発売を記念して、ニューヨーク近代美術館（以下、MoMA）とそのeラーニングサイトの資料を参考にゴッホ作「星月夜」について詳しくご紹介しましょう。
1889年5月から1年間、フランスのサン＝レミにあるサン・ポール・ド・モーゾール修道院で療養生活を送ったゴッホが、病室からの眺めを描いた作品とされます。
しかし、風景をありのままに描いたのではなく、実際の景色の中に過去の記憶や感情、想像を盛り込んだものと考えらえています。
MoMAのeラーニングサイトでは、この点を次のように解説しています。星月夜は、視覚的に強い印象を与える「観察力の見本ともいうべき作品でありながら、明らかにそこから一線を画している。ゴッホが感情的表現を与えた夜空や自然は、ありのままの姿からかけ離れたものになっている」
では、この名画をつぶさに観察してみましょう。
まず、ゴッホがあの独特なタッチや色使い、造形で美しく描き出した夜空から見てみましょう。
これらの技法によって、夜空はまるで生きているかのように鮮やかな躍動感にあふれ、実際の景色とはかけ離れた想像画であることがわかります。
しかし、すべてが空想だったわけではありません。ゴッホは当時の南フランスで観測できた金星をまばゆい惑星（左中央）として描いています。
さらに、MoMAの解説によれば、「夜空に渦巻く造形は、当時観測された星雲（宇宙塵や星間ガスが集まった天体）と一致する」そうです。
夜空に輝く星や月、うねる風を見れば見るほど、生々しさと混沌が入り混じった夜空に心を奪われていきます。
MoMAは、天体物理学者のジャナ・レヴィン氏を迎えて、星月夜の天体に関する考察をポッドキャストで公開しました。
「芸術においても科学においても、私たちは主観性と客観性のあいだを行ったり来たりしていると日頃から考えています」とジェナは言います。
「〔芸術と科学に〕共通するのは好奇心です。世界に疑問を抱き、世界を異なる視点から眺め、自分自身を客観的に見る...それが人を人たらしめ、宇宙の一部であることを意識させるのです」
ゴッホが弟のテオに宛てて書いた「希望は星にある」という言葉は当時の彼の心情を示すものであり、星月夜には夢や期待が込められていると言えるでしょう。
ゴッホは作品に視覚的なコントラストを取り入れることで知られています。
私たちは特に、大胆な色使いの夜空の下にのどかな村が横たわる構図が気に入っています。
しかし、MoMAの解説では「なだらかな丘のふもとにたたずむ村は、病室の窓からの眺めではなく、別の場所の景色を引用している」そうです。 また、教会の尖塔もフランスのものではなく、ゴッホの故郷オランダの建築様式であることがわかります。
背景の山々や左に見える糸杉はサン＝レミ周辺の景色ですが、実際の糸杉はもう少し離れた場所にあります。
ゴッホ独特の躍動感あるタッチと色使いにインスピレーションを受けたトルーマンは、独自の創造力で生み出した作品をレゴ アイデアコンテストに出品しました。
「星月夜はゴッホの代表作のひとつです」とトルーマンは言います。「この名画をぜひレゴブロックで再現してみたいと構想を練っていましたが、上手い方法が見つかりませんでした」
「ある日、レゴパーツで遊んでいたところ、間隔を開けて不規則にプレートを重ねるとゴッホのあの独特のタッチのように見えることに気付きました。この方法であの絵を組み立てたら、どんな風になるだろうと興奮したのを覚えています」
「ゴッホの原画をもとに自分なりのひらめきや想像を加えて3D化しました」
ゴッホファンならずとも、ご自宅のインテリアに今すぐ加えたくなります。星月夜の解説（英語）はmo.ma/starrynightをご覧ください。
